乳腺腫瘍はネコに発生する腫瘍の中で3番目に起りやすい
腫瘍です。
好発年齢は10〜12歳とされており、
ドメスティック・ショートヘアや
シャム猫が好発種として知られています。
85〜95%が悪性の腫瘍です。
(以降、手術の写真などが出てきます)
ネコの場合はほとんどが悪性ということがわかっていますので、
外科的に腫瘍を切除することが治療の第1選択となります。
乳腺腫瘍の予後
ネコの乳腺腫瘍は腫瘍の大きさや外科切除範囲によって
予後が変わります。
なるべく早く、大きく取ることで
再発・転移を防ぎ、長生きにつながります。
そのため切除するときは乳腺を片側全部切除する、
片側乳腺切除術や、
両方とも切除する、
両側乳腺切除術が選択し、
なるべく腫瘍が小さい段階で手術をすることを
お薦めしています。
今回の症例は
チンチラ、メス、12歳齢
乳腺のしこりに気づかれて来院しました
身体検査を行い、右側の第4、5乳腺付近に5mm程の
腫瘤を3つ確認しました。
肺転移や、血液検査上の異常も認められませんでしたので、
片側乳腺切除を行いました。
(写真1:手術前)
(写真2:片側乳腺を切除したところ)
(写真3:術後)
術後の経過は良好で、
傷のトラブルもなく抜糸を終えることができました。
病理診断結果は
乳腺管癌という悪性腫瘍でした。
腫瘍は取りきれており、血管やリンパ管への腫瘍細胞の
浸潤は認められませんでした。
現在は元気に生活してくれており、
定期的に診察をしながら、経過観察中です。
高齢の子は病気を隠し持っていることがあります。
普段からよく観察してあげて下さい。
早期発見、早期治療につながります。
参考文献
小動物臨床腫瘍学の実際 第4版
small animal clinical oncology 5th
獣医師 村端健臣